私はアニメルパンも好きですが
原作ルパンファンでもあります。
初期はストーリーが面白いし絵も丁寧。
何よりコルトはこの時期の不二子を一番愛してる。
冒険編は読みやすくて楽しい。
新ルパンはルパンが山田さんの口調そっくりで、銭さんがカッコイイ＾＾
原作ルパンというと
「狂気」「エロス」「悪」
初期だと更に
「サイケ」
とかそういうイメージ。
それともうひとつ原作は全体的に
「ルパンの性格・表情が
異様に可愛い」
のが特徴。シリーズが進むほど愛嬌一杯のおっちょこちょいに磨きが掛かる。
なのに、どうして世間様ではこの部分が見落とされがちなんだろう。
そこで今回は管理人が原作ルパンで、思わず
「可愛い！」
と口走ってしまったシーンと話のうち、特に
旧「どじ」
新「ヤップランド編」
の二つを例にとってみたいと思います。
「可愛い」というのは、人間的にという広い意味も含みます。
ネタバレありです。ご了承下さい(^^ゞ
参考文献：
双葉文庫「ルパン三世」
中央文庫「新ルパン三世」
※話数もそれに準じます
◇
〔１７話 どじ〕
はい、もうタイトルからしてルパンちゃんの
可愛いドジっぷりに期待してしまいます。
原作初期ではルパンと次元の甘えとクールの関係が
全く今とは逆というのも判る話。
次の
「新 ヤップランド編」
を読んで頂くとそれも判ります。
この頃の次元はまだルパンの手下という感じです。
ルパンもボス風吹かしてる。
次元に、というよりも自分の全ての部下に対してといっていい。
だから次元も相棒であるけれど今の悪友的な対等の繋がりではなく
親分と子分の縦関係。
ル次さんで鬼畜好きな方はこの頃の二人をベースにされてるのかしらん。
ルパンは次元を幼馴染で、一応相棒と認めてはいるけど勝手に自分に惚れて追っかけまわしてる奴という目で見てて、ルパンの方がお兄ちゃんくさい。
相棒として指示を与えてこなしてくれれば良し。
次元がルパンにじゃれつくように色々相談持ちかけるのに、ルパンは仕事の時間に間に合わないからと
さっさと水に濡れてる次元を車の外に放り出す。
初期の次元がベタベタに
「オレはやつが好きなんだよ」
とカミング・アウトしたり
「きょうほどお前ェを愛した事はねェぜ」
とコクったり
「ルパンのいくところ次元あり」
と北極にまでストーカーしたがるのとは大違い。
ひょっとしたらルパン、次元にホモ的なムードに引き込まれるのを
避けてるんじゃないのか。
だからわざと女を引っ張り込んで隙を与えようとしないんじゃないのか。
次元の熱い想いにとまどってるんだね。
そうなんだね。 (おーーーい・・・)
だがこの話ではラスト、今後の二人の変化を予感させる
大変に素晴らしいシーンが。
ルパンに殺された白乾児の妻から
爆弾付きのナイフを腕に突き刺されるルパン。
さっきまでの不敵さはどこへやら。
「たすけて・・・・クレ・・・・ッ」
と両手あげて逃げ出しちゃう。
ここで次元がいたなら今なら間違いなく
「次元ちゃーーーーん！！」
と泣きつきそうな勢いです。
と、思ったら本当に泣いていた。
アジトでグスングスンやってるところへ＾＾
ルパンを愛してると後に公言してしまってる次元がやってきます。
「だいじょうぶだって。オレがとってやるよ」
やさしい！！
そして何て頼りになる男なのでしょうか。
ルパンは目に涙を溜めながら、大人しく次元のされるがままになります。
次元は更にやさしく
「心配するなって・・・・・」
いっときますが、これ私の妄想じゃありませんよ！！；；；
公式ですよ！！
それも本家本元・原作のシーンですよっ！！
そりゃ、ちょっと私的なフィルターを通して見てるかもしれないけど・・・・。
(↑ちょっと？)
これで無事ルパン姫は次元の騎士に救われたのでした。
・・・・・となればカッコよかったんだろうけど。
「どじ」だったのは果たして誰の事をいってたのか。
結果、ルパンは大爆発。
黒こげになって、
逃げ出す次元を金槌持っておっかける。
ヘタレだ。
次元、この頃からヘタレ攻めの兆候があったんだな。
私は次元は受けより
絶対へタレ攻めの方が美味しいと思うんだがなァ。
〔新１６５話〜１７４話 ヤップランド編〕
新はコレ！
丸ごとルパンが可愛くて、微笑ましいシーンてんこ盛りのお話です。
南島ヤップランドに乗り込んだルパン。
酋長から島を観光地にしたいと言われ引き受けるのだが
本来はそこのお宝を盗むのが目的(だったんだろうな多分)
表向きの観光地作りなんて、適当にやってればいいのにルパンてば
「ハワイ以上の観光地にしてみせる！」
と何故かやる気一杯。
律儀に一所懸命
頑張っちゃってます。
ルパンと約束を交わした酋長なんて可愛子ちゃんでも何でもない
ただの太ったおっさんです。
しかも、ルパン本人は至って真面目にやってるみたいなんだけど
島で自分は双子だったという舞台芝居をはじめたり
(無理やり一人二役やるより、次元にでも変装を頼めばいいんじゃないのか？)
無理やり観光客を誘拐して
迷路パズルにご招待(？)したり
営業方針がどっかずれてます
トリックに使う薬液を貰いに島の先生のとこへ行った時には
ニコニコ元気に
丁寧な御挨拶
(こういう人は職場で好かれるよ)
そこで
薬がなくなったと聞いて
焦って舌をペロンと出しちゃったり
先生の行く手を遮るのに
にょろ〜んとした
オモチャの足で邪魔したり
驚いた拍子に
腰が抜けて尻餅ついちゃったり
いちいち、やる事やリアクションが可愛いんだよ、もう(笑)
しかも島が沈むことが判って酋長も島民も皆逃げ出そうとしてるのに一人
「オレはここを世界一の観光地にしてみせると約束したんだ」
とあくまで約束をやり遂げようとする。
この回は次元や五右ェ門の力も借りません。孤軍奮闘。
なんでそこまで頑張るんだ泥棒のくせに(笑)
島の沈没について解説してくれるドクター江良井に
「計算に間違いはありませんか？」
とわざと悪戯っぽく聞けば
「あまり頭がよさそうじゃないから図で説明しよう」
と、つっこみ返され赤くなってフクれる(^^；
アニメ設定 ＩＱ３００ も形無しです。
島が倒れる方向を自分の首を傾げながら聞くとこなんて無茶苦茶可愛い。
ルパン
「やっぱりヤップランドが倒れるのは・・・コッチの方向ですか！？」
(首を右にカクン)
「なんとかコッチか」
(首を左にカクン)
「コッチか」
(顎を上にカクン)
「コッチの方向になりませんか！？」
(うつむいてカクン)
天然受けパワー全開。
激しく此処アニメの動画化希望！！
テレスペでやってごらんなさいな。
一気にこの影響でルパン受けサイトさん増えるこた間違いなし。
しかも全部敬語ですよ、これが受けでなくてなんだというのです。
とうとう島が沈み始めます。
仲間や銭さんの乗ってる沈没船の上に島が倒れると知って
皆を心配して
うろうろするルパン。
何とか皆を助けようとして、それはいいんですが
アクアラングもつけず
水中眼鏡ひとつで潜水し
鉄柱１本と己の背筋だけで
島の傾きを阻止しようとする。
はっきりいって、おバカ。
そんな事やっても無駄だと判ってるくせに、皆を助けたい一心でやってしまう。
ドクターからは「あのアホ」といわれ、海底の魚からも呆れた目で見られる始末。
子供の頃は
「ルパンはＩＱ３００のはずなのに、おかしいなあ」
と不審がるばかりのこのコマでしたが、大人になった今改めて見ると
「そうだよ、おかしいんだよこの子はっ！」
と、むっちゃ受けてしまいました。
齢を取ったな。
更にこの後がいいのです！！
ルパンに振り回された挙句、ついに大西洋の筏の上に
共に放り出される事になった次元と五右ェ門。
無表情に二人は無言。
お陰でルパンは謝りたいのにきっかけが掴めず
赤くなって
もじもじとしている
とうとう沈黙に逆切れして怒り出すルパン。
自分が悪いのだから袋叩きにしろと言ってくる。
それでもはぐらかす次元に
「お前ェらを大西洋のド真ン中に連れて来たのはこのオレだ！！」
と
申し訳無さそうに
しょげてしまう。
そして罪滅ぼしの為に
自分が魚釣りの餌になるときっぱりと言い放つ。
この辺の下り、もう大好きです＾＾
ルパンが非情だったり冷酷だったりするのは
（健全サイトのコラムでも書きましたが）
己のプライドや美学に関わる時や
わざとヒール役を買って出たりする時
のみであって、普段の彼は
むしろ人に気を使う
責任感の強い
自分を責めてしまう癖がある
（意外と思われるだろうが事実だ）
人間なんです。
その証拠に、次の「バッド・シティ編」では
銃撃戦に巻き込まれ死んだと思われた少女に
「オレの流れ弾にあたったんだ」
と思い込んで真面目に暗くなったりしてる。
思わず次元が
「おめでたいことをいいなさんな！！」
と喝を入れてしまう程です。
旧原でも、自分の勘違いから五右エ門を疑って見放された後
「くそっ！！オレは・・・オレは・・・
大事なものを・・・ぶちくだいたような・・・気がする！！」
と机を叩いて激しく悔やんだりするし。
そーーなんです。
本来ルパンって
こおいう人
なんですよーー！！（魂の叫び）
暖かい心の持ち主なんです。
いじらしいほど優しい面があるんです。
でも、おバカだから上手く表現出来なくて誤解されるんです（爆）
閑話休題。ヤップランド。
そして責任、無茶苦茶感じてるルパンを
優しく笑って許す次元ｖｖ
「おかげで楽しい思いをしてるぜオレは」
そうでしょうそうでしょう。
愛するルパンちゃんと海上デート(違う)の上
こんなしおらしい美味しい姿見せて貰って楽しくない訳がない。
(それは己の場合だろ)
この大人〜〜な男の態度＆セリフの次元に心底惚れてしまった管理人は
小説部屋で次元書く時は、この次元をモデルにしています(^^ゞ
次元に吊り上げられてるルパンってのもいい。
ルパンがあれだけの啖呵を切りながらも
やっぱり海中では
怖そうにしてたり
それに対して
「安心しろ！！」
という次元がまた・・・ｖｖｖ
ここで鮫に食いつかれて
「次元！！」
と悲鳴を上げるルパンもいい！！
タイミングを外してしまい、そのルパンを引き上げそこなう
次元のへタレっぷりもいい！！(笑)
（どこが「安心しろ！！」なんだよーー ＾＾；）
鮫を見てルパンを心配し
次元を叱り飛ばす
男らしいゴエ
もいいいいいっつ！！
無事、五右エ門に助けられたルパンは
海上で酋長と再会。
ついつい己の不遇に酋長に文句をいうルパン。
だが、何も
泣く事はないだろう・・・・(^_^；
酋長の警護女にちょっかい出すふりして
ちゃっかり相手の様子を探るところは流石演技派。
そこで相手の毒矢に当たって気絶しちゃうとこは
愛すべきズッコケ（笑）
ここで次元
「なめた真似を」
と突如怒りのモード。
腰の拳銃を引き抜き、その女を狙う。
そうでしょうそうでしょう。
愛するルパンをそんな目にあわせて（違うって）
しかも自分から奪ってしまう様な連中など許せるわけがない。
自分と張り合おうとする女達に苦笑いし、威嚇射撃に変える次元だが
どーーゆーー訳だか今回の次元、カッコイイんだか悪いんだか判らない。
知らない間に毒蜘蛛を忍ばされてこれまた気絶。
見事なまでのヘタレっぷり。
ヘタレ次元と、おバカルパン。
あんたら似たもの同士の似合いの夫婦だよ(爆)
しかし酋長も味な真似して下さるじゃあ、あーーりませんかっ。
ルパンちゃんを袋詰めして
錨で繋ぎ止めて置く
なんて、何て美味しい・・・。
ありがとう酋長(^_^)/！！
貴方みたいな王様のいる島には是非観光旅行したいです。
この話ではゴエも、もろにいい男。
それにしてもルパンのお尻の
ホクロの位置まで知ってるとは
何故・・・！？（笑）
どうもいつも必要以上にルパンを裸にしまくってるような気がするなあ、ゴエ。
この後の「バッド・シティ編」でもルパン、
次元に蹴られたり
(旧原「どじ」との関係逆転が良く判るシーン)
意味もなく又しても丸裸にされてたり
(モンキー先生、本当ルパンを脱がせるの好きだなあ・笑)
お化けハンドに怯えたり
五右ェ門にすっかり守られちゃってたり
次元も五右ェ門も最早
「ルパンというボスについていく」
という初期の目的が
「危なっかしくて見てられないから
助けてあげなきゃ」
という方向に変わってしまってる。
冷酷で恐ろしい男とばかり思ってた奴の正体が
実は愛すべき可愛い性格だった、って
この逆転・意外性が萌えます。
しかし、改めて原作のルパンを見直してつくづく思った。
屈託のない、明るい
笑顔が多いです
見ていてこっちまでつられてニコニコしてしまう。
しかも、すぐ拗ねるし泣くし(笑)
これって、赤ちゃんの武器と同じだ。卑怯だなあ＾＾
そして結構
怯えたり慌てたり
みっともなくって
殴られたり蹴られたり縛られたり
裸にされたり爆発させられたり
散々な目にこれでもかと言うほど頻繁に遭っている。
回数だけからいえば、アニメのとっつあん以上だ。
だけどアニメとのとっつあんの扱いと違って
それを安心して素直に楽しいと感じられるのは
コルトがル受けの人だというのもあるかもしれないけど
(それが大半だというつっこみは無しです＾＾；)
肝心の決めるべきところは
きっちり決めてくれてるから。
牙の使いどころを外してないせいか
時たま見せるしたたかさにはゾクリとくる。
どこまでが本気でズッコケなのか、女好きなのか
ひょっとして敵を油断させる為の演技ではないかと思わせるほど。
原作パワァコミックス新ルパン第２巻での
モンキーパンチさんコメントによるとルパンは
「ドジでおっちょこちょいの仮面を
被った緻密な完全主義者」
というのが基本性格なのだそう。
ルパンを超一流の悪党であり、殺し屋でもあると同時に
「極めて人間味のある男にしたかった」
というコメントをされていて、この事からもモンキーさんは、
ルパンに人間的な意味の可愛らしさを持たせることに、
かなりこだわっていたようです。
イザという時の為に鋭い牙は隠しておく。
必要ないのに人を傷つけたりしない。
それが本当に強い者だという考え方。
なので不敵顔も無闇に安っぽくは乱打しない。
決め所の牙は隠して、むしろ普段は飄々と
「何でもないよこの位のこと」
と余裕綽々の笑顔で切り抜ける。
気張ってないから、ズッコケたりするのも気にしない。
普段がこうだからこそイザという時の非情さも活きる。
この落差、緩急が堪らない。
この様な原作の感性・主旨を理解した人が作画・脚本・演出を担当してくれれば
今の公式アニメの画一化されたルパンの表情も性格も
だいぶ違ってくるのに、と思うのです。
Friday, 17 June,2005「ＬＵＰＩＮ日誌」転載
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原作ルパンの可愛らしさ
