「どうして、とっつあん此処に?」
「ん・・・?お前を追うのがワシの使命だ。他に理由なぞあるかっ。お前がいる限り、ワシはお前を追い続ける。必ずこの手に捕まえてみせる。そういう運命なんだよ」
「運命の赤い糸って奴?」
「まあ、そう言い変えてもいいかもしれんな。貴様のせいで婚期も逃しちまったし、今のオレにとっちゃ、お前が恋女房みてえなもんだ。お前を追ってお前が此処に入っていくのが見えた。だから飛び込んだ。それだけの事でぇ」
オレは黙ってとっつあんの言葉を聞いていた。そうか・・・そうだよな。
オレは、ずっとオレと運命の赤い糸で結ばれてるのは次元だと思ってた。
それはあの日、次元が無理やりオレを犯したあの日にそう、思ったんだ。
次元がオレを押し倒したあの夜、オレびっくりして最初抵抗した。
だけど・・・身体が勝手に反応して・・・。
それ以来、自分じゃどうしようもなくなっちまったんだ。
だけど、本当はとっつあんだったのかもしれない。赤い糸って奴が、もし本当にあるとしたらね。
オレだけをここまで見つめてくれるなんて、さ。
ぶるっ。再び身体が震えた。
「寒いよ、とっつあん」
「おい、大丈夫か」
とっつあんがコートを脱いでかけてくれた
あったけえなあ・・・。
すっぽりオレの体を包んでくれる、大きな手。汗の入り混じった男臭い匂い。
次元より、ひょっとしたら逞しいのかもしんない。
むくむくと抑え切れない危険な想いが溢れてきた。
次元を忘れさせてくれるのは、これしかねえのかも、な。
「とっつあん・・・オレを抱いてみない?」
5/ 2(Tue)
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