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生と死と
常に隣りあわせで生きているから
人が逝く時って、判るんだ
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◇
暗い裏道。
次元はルパンを突き飛ばした。
彼を狙う殺気に向かってマグナムを抜く。
一発で相手の額を打ち砕いた。
今まで幾度となく繰り返されてきた光景。
違っていたのは
相手の引き金が、その直後に引き落とされた事。
次元は冷たい石畳に倒れた。
胸には銃が牙をむいた穴。
深い血の底に沈められた弾丸は
男の心臓の音を止めようとしていた。
ルパンは駆け寄るとその身体に被さり、噴き出す血の穴を塞ごうとする。
見る間に白い手は朱く染まる。
長い生死を賭けた生活は
そんな事をしても無駄だと教えてくれていた。
「次元。バカ、死ぬな！」
胸が深紅に染まると共に
男の身体は次第に冷たくなっていく。
なんで。
なんでお前が先に逝くんだ。
まだ、言ってないのに。
お前だけに残してきた言葉を。
気付いたら、涙が溢れていた。
次元が、オレを見る。
おかしいか、オレが泣いてちゃ。
冷酷で、女好きで、悪魔のような男。
いつも、誰からも、そうである様に望まれてきた王が。
「おかしかないさ」
次元が呟く。
「女の子だしな」
唖然としたオレの声は掻き消される。
・・・・・・・・・次元、お前・・・・・・・・・・。
「知ってたさ」
こんな時に悪戯っぽい眼で笑いやがって。
違う。それを言うのは次元、オレが逝く時だ。
「可愛かったぜ。お前がたまに女の服を着たところ」
嘘付け。いつも吐きそうな面してやがったくせに。
「どうしても・・・隠すのが辛くなったら、五右ェ門に言え。
あいつは・・・薄々気付き始めてる」
嫌だ。俺が本当の事を言うのは、お前だけだ。
「最期まで・・・男に抱かれるお前を・・・見ずに済んだな・・・・」
次元は静かに微笑むと、その微かな瞬きを止めた。
しがみつくルパンを
もう
振り払う事もなく。
「道化師の仮面」のその後。次元がルパンの正体に気付いてたという設定です。詩とストーリー物の中間。他の作品と同じセリフが幾つか被ってます。中には意図的に同じにした物もありますが、他の言葉に代えようとしても「このキャラならこう言う」という雰囲気を持つ台詞回しってあるんですね。試行錯誤で他の語彙に変えてもしっくり来なかったので同じセリフにしてみました。まあ、後で変更するかもしれませんがそれはいつもの事なので・・・(笑；)続き物ではありません。３部それぞれが完結編です。続けて読めばそれが又ひとつの話に見えるようにしてあります。次元が死ぬのは嫌だ、という方は後編へどうぞ。 2005.4.23
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逝かないで〔前編〕
